いらっしゃいませぇ


ここCafeHEAVENはメニューは存在しません

お客様の好きな物を言ってください

ある物ならなんでもつくりますよ





ん?

あぁ…その本ですか?


本屋さんで見つけて読んでみたらすごく気に入って…

ええ、だからここに置いて色んな人に読んで貰おうと思って…



え…
他にも有名な作品を書いてるんですか?

へぇ~、いや…恥ずかしいことにあまり本を読まないもので…


どうして突然読もうかって?



ふふ…ちょっと知り合いに影響されてね





ああ、ごめんなさい。注文まだでしたね…。ホットミルクティーですねご用意いたします。お待ちください







《カランカラーン》


あ…猫さんだ。




「いらっしゃい」


オレンジ色の空を背負って綺麗な猫さんが入ってきた


いつも眩しくて
入ってきた瞬間は目を細めてしまう




およ?


何だか今日は疲れてる?

チャンミンは微塵も弱音や愚痴を零さないけど

顔には疲労が滲み出ていた。



そっといつもの珈琲を作り前に置く



「ありがとうございます」

「今日はゆっくりしていけるのか?」


チャンミンは力無く首を横に振るだけの返事をくれた


「そっか…。
ちゃんとご飯食べてるか?」


「ふふ…ええ、ミノが色々買ってきてくれるので大丈夫ですよ」


「そうなんだ…なら心配ないな」





最近チャンミンは忙しい。


前にも忙しくて一週間くらい顔を見せない時もあったから

まだこうやって来てくれるだけマシか。。。




何だろな…


いつも間にか毎日顔を会わせるのが当たり前になって

当然のように毎日の中にチャンミンが存在する



ヒチョリヒョンだって最近じゃ毎日顔を出すようになったけど…





ずっと前から親しいヒョンの方が一緒に過ごした時間は多い筈なのに


ヒョンとはまた違う


ヒョンのような兄弟とも

仲の良い友達とも

店の常連客とも


どれも違うチャンミンという存在。。。



自分でもよく分からなくて

最近悩んでいる。




だから少しでも近付きたくて、普段読まない本を手に取ってみた。



それが意外にもすんなり読めて…

寧ろ寝る間も惜しんで噛り付くように読んだ





「ーーーーこれ…」

「ん?…ああ、それ?」


チャンミンはカウンターのすぐ横に置いていた例の本を手に取っていた


何か照れ臭いな…

普段本を読まないのはチャンミンも知っているし

どうして突然?ってなるよな…



「はは……えっと…チャンミンがいる世界ってどんなのか気になってさ…」


俺の言葉にチャンミンは暫し呆然としていて…


??


どうしたんだろ…俺何かおかしなこと言ったかな?



「そう…ですか。」

「うん…」


首を傾げて見ていると、チャンミンはチラチラと俺を見上げてくる




「その…どうでした?……その本」



まだこの本読んでなかったのかな?
結構人気みたいだったけど…



「何かね…優しい文字だなって…温かかったよ」



その言葉にチャンミンは大きな目を更に大きくした


「可笑しいよな?本にそんな感想…。
でも、そう思ったんだ。」



チャンミンは何度かゆっくり瞬きを繰り返し小さく頷いた

その反応がよく分からなかったけど、嬉しそうなのが伺えた



知り合いなのかな?



「俺が出て来たから驚いた…はは…。
俺って言っても同じ名前の女神様だけど…」



題材はローマ神話なんだってさ

本当の神話とは変えてあって全く違うらしいけど…


女性の守護神として数々の人たちを救い愛した女神様のエピソードが印象深かった



「主人公じゃなかったけど…同じ名前からかな?その話が一番好き。
心が温かくなった…、あ!勿論他のエピソードもすっごく良かったぞ!」


思い出してまたほっこりした心を
チャンミンにどうにか伝えたかったけど…

上手く言葉に出来なくて…もどかしい。。。



ふわりと頬に熱を感じて顔をあげると

なんとも優しい蕩けそうな顔のチャンミンが微笑ながら俺の頬を撫でていた




「チャンミン…?」


「良かったですね…気に入った本に出会えて」



綺麗に笑うチャンミンに急に照れて

どうして良いか分からなくなった。



「あのな…この作者他にも良い作品いっぱい書いてるんだってさ。さっきお客さんに教えてもらったんだ」


誤魔化すように口早にそう言うと
チャンミンは右目を細めて微笑んだ



「他のも読んでくれるんですか?」

「うん!早速明日本屋に行こうと思って………る…?」



…ん?
何かさっき引っかかるような…



首を傾げていると扉が乱暴に開かれる


驚いて見てみると、そこには息を荒げたミノさんが立っていた



「やっぱり此処でしたか!」

「もう来たのか」

ミノさんとは逆にのんびりしたチャンミンの言葉に盛大な溜息をついて

ミノさんはノロノロとカウンターにやって来た



「ミノさんこんにちは」


「ああ…こんにちは」



疲れきったミノさんにちょっと悪い気がする



またきっと勝手に抜け出して来たんだろうな。。。

ちょっと悪い気もするけど

忙しい中でも来てくれる事が嬉しかったりするから…何にも言えないな。。。



「もう…本当にちょっと目を離すとすぐ消える!」

「ちゃんと今日分は終わらせてるでしょ」

「そうですけど…!ちゃんとチェックしてから消えて下さいよっ」


まったく…!とまだまだ文句が収まらないミノさんにチャンミンと同じ珈琲をいれてあげる。


「ん~…やっぱり美味しいですねユノさんの珈琲は!」

「ありがとうございます」


幸せそうな顔のミノさんに俺まで嬉しくなる。


「あれ?これ…」


ミノさんがチャンミンの手の中の本に目を向けていた


「ああ…それ今の俺のお気に入り」


ふふ…と得意げに笑うと


ミノさんはパチパチ大きく瞬きをして

ああ…と納得いった風に頷きニヤニヤとチャンミンを見た



「やっぱりあげてるじゃないですかぁ」

悪戯に笑うミノさんにチャンミンは心底嫌そうな顔をする


よく分からなくてじっとチャンミンを見ると、サッと顔を逸らされる


「ほら、仕事するから帰るよ。」


グイッと腕を掴んで立ち上がらそうとするチャンミンにミノさんは益々ニヤニヤ笑う



「何ですか?もしかして照れてます?」

「いいから…ミノ…」


はぁ…と溜息をつくチャンミンに俺は我慢出来なくなる


「何…どういう事?全く分からないよ?」


俺の言葉に次はミノさんが不思議そうな顔をする



「え…?それユノさん出てるから貰ったんでしょ?」


「へ…?俺?何で…?」




「え…?もしかしてユノさん知らないんですか?」

「ミノッ」


チャンミンの咎める声も聞かずミノさんは思いもしない事を口にした




「それ 、チャンミンさんの作品ですよ?」



横で額に手をついて大きく溜息をつくチャンミンを

俺はただただ呆然と見つめていた……




photo:02


俺…女神様…?




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
前から知ってはいたんですか、改めてローマ神話を調べてみました(*´Д`人)

ギリシャ神話ではヘラで有名ですね。
ゼウスの正妻です。

ローマ神話では主神ユーピテルの妻ユノ(ユーノー、英語ではジューノウ)

結婚、出産の女神であり他にも月のユノ、光のユノ、女王ユノ…など言われています。

ヨーロッパの語源を表す6月のGiugno、Juin、Juneは英語読みのジュノ…ユーノーに由来しててよくジューンブライドっていうのは6月に結婚することで花嫁にユーノーの加護を期待するって意味合いで行われていた風習なんだってぇ(*゚I゚*)

ジューンブライドは6月の女神様に肖ってるってのは知ってはいたけど…ユノだとは知らなかったわ(∵*)


改めて調べると面白いwww神の名前ってすごいね~
しかも東方神起だって名前の由来が東方に神が起きるだもんね
運命感じちゃう(*´艸`*)


実際は浮気症の旦那に悩まされ嫉妬に狂い浮気相手に復讐をする…なんて気性の荒い女性神となっていますがwww

まあ、そこは都合良く…ね?( ●≧艸≦)



そう思うと新曲のWedding Dressはユノの象徴ですね(◎´∪`))